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論文とは?学術論文に関する基礎知識まとめ

大学を卒業するためには多くの場合、「論文」というものを書くことが必須の条件である。今回の記事では論文に関する基礎知識をまとめた。

論文を読み始めるor書き始める前に論文に関する基礎知識を身に着けておこう。

生命科学系の学科の場合のスタンダードな例をベースに作成した記事です。

 

 

 

論文とは

大学で言う場合の「論文」は

学問の研究成果などを論理的にまとめたものである。

 

そして論文と言われるものには大きく分けて三種類の形式が存在する。

  • 論文(Article)

最も一般的な形式の論文。論文といわれているものは大体これ。

  • レター(Letter)

短い形式の論文。

  • 総説レビュー(Review)

特定の研究分野の研究結果をまとめたもの。

 

卒業のために書くのは一番上のArticle と呼ばれる種類のものが一般的だ。

 

なぜ論文を書かなくてはいけないのか?

この素朴な疑問にも触れておきたい。

 

論文に書くような「学術研究」は、あらゆる面で有益である。

医療や工学の分野の新しい研究は、新技術の開発・普及に不可欠であるし、考古学など人文学系の一見すぐに役立たそうな研究であっても歴史の正確な把握に役立つ。更にいいえば人文学系の研究は自国の文化の成り立ちを理解するためであったり、あるいは文化そのものを生み出す可能性すらある。

 

昆虫生理学のようなマイナーといわれる研究分野でも例外ではなく、有益だ。

(昆虫の研究をもとに概日時計などの今日ではかなり重要な発見がなされている。)

そう、この世のあらゆる物事は見えないところでリンクしているのである。

 

その有益な情報を後世に残すための手段として「論文」は存在する。

研究者が研究をしても、論文を書かなければ発見された事柄は、その人が死ねば消えてしまう。つまり研究をしても論文を書かなければ意味がないと言っても過言ではない。

 

なにがしかの研究成果は後世に残す必要があるのだ。

それは後の研究者が先行研究として使うためであったり、知識のストックの役目を果たすためである。多くの研究論文が英語で書かれるのもそのためだ。

英語で書いておけば、異なる国の間で情報のやり取りがスムーズになるため研究成果が活かされやすい。

 

 

論文を読むときによく耳にする用語解説

論文雑誌と出版社

nature

Nature

論文雑誌と出版社は混同されることが多い。

例えばよく聞く「Nature」は論文雑誌。

「Springer」はその出版社である。

Natureという会社が出している雑誌が「Nature」というわけではないので要注意だ。

 

日本のマンガ雑誌の例を出して例えると

週間少年ジャンプが上の例での「Nature」

集英社が「Springer」である。

 

オープンアクセスジャーナル

オープンアクセスジャーナル(OAJ)は、お金を払っていない一般人でもアクセスができ、無料で論文を読むことができる雑誌である。

 

運営費は、研究者から出版料としてお金をとることで賄われる。

このような出版過程を踏むため、特定の出版社に論文の権利が帰属しない。そのため研究結果は利益のためでなく、公の場に100%還元されることがメリットとして挙げられる。一方でその出版料は研究費から賄われることが多いので、研究費が潤沢でない研究者の発表機会が相対的に奪われているというデメリットもある。

 

ハゲタカジャーナル

論文が世の中に出るまでには、「査読」というプロセスがある。

査読は、その論文に書いてある研究内容に詳しい他の研究者が

その研究が正しい論理や手順を経て研究しているか

その研究が新しい研究結果であるか

などを審査することである。

 

ハゲタカジャーナルは、この査読と呼ばれる過程をスキップして出版する論文雑誌のことだ。

研究者がこのハゲタカジャーナルと呼ばれる雑誌に論文を投稿すれば、査読がないのでほぼ却下されることはない。研究者としては見かけ上の研究成果を増やせることになるので、研究費獲得や職の獲得にメリットがある。

 

このハゲタカジャーナルの問題点は「論文の質を保証できない」点にある。

査読というのはその審査過程があるゆえに、低い質の論文を見分け却下することができる。この過程がないハゲタカジャーナルは質の低い論文の温床になってしまっている。

 

なおオープンアクセスジャーナルとハゲタカジャーナルの違いは「査読が甘いかどうか」だけであり、その境界線は曖昧である。

 

インパクトファクター 

インパクトファクターとは、過去二年間で出版した論文数と論文の総引用回数などによって、その雑誌の影響度を測るものだ。

研究者の評価にも使用されることがある。

インパクトファクターが高い雑誌は掲載が難しい。

そのためインパクトファクターが高い雑誌に載る論文は高い評価であると言える。

 

しかし引用回数が増えにくい研究領域も数多く存在する。

例えば「昆虫生理学」などがその一例だ。

これは研究者の数が少ないため、相対的に引用回数は少なくなってしまうためである。

 

このようにインパクトファクターが低い雑誌だからといって、レベルの低い雑誌とは一概には言えない。

 

引用回数

引用回数とは、その研究の結果が他の研究に使用された回数である。

前述のインパクトファクターでも述べたように研究分野の影響を受けるので、引用回数が少ないからと言ってレベルの低い論文とは言えない。

しかし多くの引用を受けている論文は客観的にみて良い論文と言えるだろう。

 

一般的な論文の構成

一般的な論文は以下のように構成されている。

タイトル、著者の情報など(Titles, Author list)

要旨(Abstract)

導入(Introduction)

材料と方法(Materials and Method)

結果(Results)

考察(Discussion)

謝辞(Acknowledgements)

引用文献リスト(References)

本文に載せていない追加のデータ(Supplemental data)

 

はじめての論文の使い方

先行研究の論文を読む。

まだ論文を読んだことがない!という人は自分の興味のある研究分野の論文を読んでみるといい。もう研究室に配属されている場合は、自分の研究室のボスが過去に発表している論文を読むと、自分に与えられている研究テーマの理解が進む。

 

論文に使われている単語はかなり専門性が強いものが多い。

またかなりキッチリした文章構成かつ文語体なので会話では使われない英単語も数多く使用されている。

そのため最初は読むのにたくさんの時間を要すると思う。

それでも一本読み切ることができれば、多くの知識を得られるのでぜひチャレンジしてほしい。

 

 

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