ユトリとサトリのあいだ

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【昆虫食】YouTuberのタガメ騒動を見て思うこと

youtu.be

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先日、僕が昆虫食に興味があることを知っている友人から連絡がきた。

なんかYouTuberがタガメ食いまくってるぞ

 

どうやら先日、女性Youtuberの間で運動会が開かれ敗者側の罰ゲームとしてタガメ動画を撮ることになったようだ。

 

マチュア昆虫食研究者として、この件と関連してタガメについての記事を書きたいと思う。

 

なぜ人はタガメを食べるのか

まずタガメを食べるという行為は一般的な日本人が体験したことのないものだと思うので一応説明しておく。

僕も実際にタガメを食べたことがある。

その体験はこの記事で紹介している。

www.yutosato.work

タガメはそのギャングのような体躯に似合わずフルーティな香りを放つ。

 

タガメを常食するタイでは、香りを目当てに人々はタガメを食らう。洋梨のようなライムのような香りで非常にいい匂いだ。

自然由来の香り成分が人々の食欲をタガメに向かわせるのである。

食べたことのない人は是非一度チャレンジして欲しい。虫からあんなにいい匂いがするというのは驚くこと必至だ。

 

虫盛り合わせ

fruity monster(s)

僕はタガメの味を伝えたかったわけではない。次に移ろう。

 

タガメは全くエコな食材ではない

タガメはエコな食材ではない。

未来の重要な食糧として宣伝されることも多い昆虫食だが、残念ながらタガメはその中には入ることはないだろう。その理由にタガメが完全なる肉食性であることがあげられる。

成虫・幼虫とも獲物を待ち伏せて襲い掛かり捕食する肉食性昆虫で、目の前で動いている捕獲可能なもの(捕食可能な大きさの獲物)ならば何でも襲い掛かって捕食する。(wikipediaより)

 

この文章の通りタガメは完全な肉食性だ。それは、餌にかかる金銭的なコスト・環境に対するコストが大きいということを意味する。

どういうことか。

 

環境に対するコスト

タガメは水場では最上位の捕食者として君臨し、その獲物は小型の魚類やカエルなどにも及び時には鳥にさえ襲いかかることすらあるという。

皆さんはタガメはどうやって獲物を捕らえ食べるかをご存じだろうか。

彼らは前足で獲物を捕らえ頭についた鋭利な口を突き刺し、体液を吸う。そして満足するまで体液を吸って残りは捨ててしまう。

タガメは吸血昆虫なのだ。

 

問題点は2つ。

  1. 動物食である=二酸化炭素排出がある。
  2. 食べ残しが多い=水質の汚染やタンパク質変換効率の観点からリーズナブルではない。

 

昆虫食の利点は諸々あるが、その1つに昆虫は二酸化炭素の排出量が牛や豚などの恒温動物に比べて極めて少ないというものがある。

しかし、タガメの場合は生き餌を餌にしているため二酸化炭素排出量の観点から見たときには効率的とはとても言えない。

 

また、吸血という捕食様式からわかるようにかなりの部位が食べ残しになる。飼育環境下では水質が悪くなりやすい。また生き餌の食べ残しの分のタンパク質は完全に無駄である。コンビニで出る大量の廃棄のようなものだ。

これらのことから「環境に優しい食材」としての昆虫食の中にはタガメは含まれない。

 

オタマジャクシ

生き餌ども

金銭的なコスト

前述の通りタガメを育てるためには生餌を用意しなければならない。

主に食用として流通するのはタイワンタガメである。昆虫食文化のあるタイではタガメを養殖するためにまず大量のオタマジャクシを用意するという。そのオタマジャクシをタガメの餌にするのだ。

オタマジャクシを育てるためにそもそも餌が必要である点でコストが高い。オタマジャクシを大量に育てるのも手間である。余計な手間は維持のためのコストを増やすことにつながる。

更に下の記事でも紹介しているが、人間はタガメの殻であるキチン質を消化できないため食べれる部位のコストパフォーマンスが良くない。

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手間・金をかけたにもかかわらずタガメは食べることのできる部位が少ないのだ

 

高級食材としてのタガメ

現状、タガメ高級食材として取り扱われている。飼育の手間という観点からも将来的にも一般的にムシャムシャ食べれる値段になる確率も低いだろう。

 

タイでの価格を参考にすると、

コオロギ一皿分とタガメ一匹が同じ値段だそうだ。(20バーツ=およそ85円)

日本で買おうと思ったら一袋3500円

 

牛角の焼肉食べ放題に一回いける値段。

これは飼育の手間を反映した値段だろう。

 

おわりに

女性Youtuberがみな揃ってタガメを食う光景は流石に滑稽だ。しかし、昆虫食の普及のためには人々の虫に対する拒否反応を取り除くことや文化に対する理解が必要である

今回の動画ではタガメは完全にゲテモノとして扱われていたが、この件で昆虫食文化に興味を持つ人も出てくる可能性もある。そう考えると、彼女らが体を張ったことも後々意味を持ってくるのかもしれない。

 

また昆虫食は一概に環境に優しくリーズナブルなものである。というのも間違いである。どんなことにも盲点や隠された例外はあるのだ。

 

タガメ動画に便乗して記事を書かせてもらった。彼女らの虫を食べた勇気を賞賛したい。

 

あとゆきりぬはいつも通り可愛かった。

 

 昆虫食の勉強

おそらく日本で一番考察が深い昆虫食の本

 

昆虫食のメリット

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