ユトリとサトリのあいだ

大学生だったり時々、虫を食べたり

「天気の子」の素直な感想だけ述べさせてくれ。

 

 

※この記事はネタバレを含みますので、まだ本編を見ていない方はページを閉じることをお勧めします。

 

 

各地で「天気の子」の感想という名のもとにあれが良かった、クソだった世界への警鐘だなんだといったコメントが投下され続けている。

 

僕も「天気の子」を見たであろう大勢の日本人のうちの一人だ。

 

君の名は。」から入った新参ファンとしてこの記憶が色褪せないうちに感想を書き記しておきたいと思う。感想を書くことは大事だと本しゃぶりにも記されている。

honeshabri.hatenablog.com

 

 

良かったなと思うところ

音楽

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映画.comより

やはり、新海作品とRADWIMPSのコラボは今回も素晴らしかったと思う。

特に帆高が陽奈を迎えに行くところの「グランドエスケープ」が流れる場面では、もう鳥肌が立ちまくっていた。あの場面は本当にすごい。

圧倒的に美麗な絵と映画館の全方位からの音の攻撃。

あの体験はやはり映画館でしか味わえない特権だ。

まだ見ていない人は楽しみにしていてほしい。

 

「愛にできることはまだあるかい」はこの映画を観る前からYoutubeで聞いていた。MVの中では洋次郎が建物の中の階段を登っていく様子が映されていたが、映画を見てやっとその意味がわかった。言わずもがなこれも最高だった。

 

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映画.comより

ちょーーー綺麗。

予告の時から思っていたが、やっぱり絵はすごい。

この絵があるからこそ、音楽が映えるのだと思う。

 

クソだったなと思うところ

音楽の使いどころ

いや、さっきも言ったけど音楽は良かった。

でも使いどころはクソだと思った。

「愛にできることはまだあるかい」がその最たる例で、見た人はわかると思うのだが

(拳銃パァァァン!)

(一瞬の静寂)

あい〜に〜できる〜ことは〜

 

の流れには、思わず「おいおい・・・」と言ってしまいそうになったほどだ。

なんというか今作は、曲が流れ出すタイミングが雑すぎたように思える。

曲と物語が乖離していると思った。

曲が流れる。というよりは「曲を召喚」という感じ。

 

設定の説明不足

これはほんとにクソだった。

挙げればキリがないが

  • 晴れ女が人柱設定
  • 帆高の家での理由
  • 空の魚
  • 陽奈の両親について などなど

確かに2時間という尺では切らなければいけない部分もあることは理解している。

しかし物語の核心に迫る部分について。例えば、晴れ女の設定くらいは入念に説明してもいいのではないか?と思わずにはいられない。

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晴れ女 (映画.comより)

他にも、これだけ「東京」という街について焦点を当て、メッセージを投げようとしているのならば帆高が家出した理由とか、実際に東京に来ての心情は語られるべきだった。

 

キャラが狂っている

「映画だから仕方ない」の一言では切り捨てられないほど狂っていた。

まぁ、百歩譲って帆高や凪は子どもだから狂った行動をしても許そうと思う。子どもはいつでも常識的にはおかしいことをしてしまうものだ。

だけど須賀、テメーはだめだ。

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須賀 (映画.comより)

須賀はこの作品では帆高が東京に来て初めて出会う大人、かつ帆高を何故か助けてくれる飄々としたおっさんとして描かれている。

行方不明者として捜索願の出されている帆高を家に返そうとするところまではわかる。

ここまでは非常に人間味のある良いキャラなのだ。家庭や自分に危害が及ぼうとしているのに、他人の子なんてみてらんねぇよ、と。そこまではリアルを感じさせる良いキャラだったのである。

 

そんな須賀は帆高が陽奈を助けに廃ビルに行くシーンで、正しい大人の姿で登場し帆高を止める。

 

須賀に止められている間に、警官隊が到着し行方不明者として捜索願の出されていた帆高を確保しようとする。

ココで事件は起きた。

あろうことか帆高を確保しようとする警官を須賀が殴り飛ばすのだ。

「お前らが・・・帆高に触るんじゃねぇ!!!!」

 

いやいや・・・。おかしいやん。だってお前も数分前まで止めようとしてたやん・・・。

まぁわかる。確かに帆高が身柄を確保されてしまうと物語が終わってしまう。

しかしあまりにも無理矢理すぎる。

他にもルートがあっただろ・・・。

 

東京水没後の説明と展開

これは他の人もさんざん言っていることだが、東京が水没したあとの展開が面白くない。

あまりにも都合が良すぎる。

帆高と陽奈にとっては確かにハッピーエンドだ。

しかし社会にとって見れば明らかなバッドエンドである。

これは新海監督も意図して作ったはずだ。

それにしては、社会側の描写が少なすぎると思う。

三年間雨が降り続いたとすれば、想像できないほど多くの人が生活を変えなければならないだろう。しかし映画の中では、瀧のおばあさんがもともと住んでいた家を捨て、移住した描写だけだ。

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映画.comより

しかもそのおばあさんも「東京はもともと海だったんだよ。だからもとに戻っただけ」という言葉で主人公達の行動をフォローしてしまう。

 

東京を海に沈めた後の人々の動きや思い、苦悩は語られるべきではなかったのか。

例えば、須賀の娘は雨の日は喘息が酷くなるといっていた。

ならば三年間の雨で須賀の娘はどうなってしまうのか?

瀧のおばあさんは移住できたから良かった。

でも移住できない人の方が多いはずだ。彼らの生活はどうなってしまうのだろうか。

 

主人公サイドの描写と「カタチを変えられた世界」側の描写のバランスが良くないと思った。あれではあまりにもハッピーエンドすぎる。

いや、誤解のないように言っておくとバッドエンドの方が良かったと言っているわけではない。バランスが良くなかったせいで、汚いものを見ないようにしている風に見えてしまうのだ。明らかに社会と主人公達の気持ちを対比を意識させているのに。

 

 

君の名は。キャラの登場

完全に蛇足だった。

観客に媚びているようにしか感じられない。

 

てっしーとさやかの描写はちょうどよかったと思う。

でも瀧と三葉はやりすぎていた。

瀧が喋った瞬間に萎えた。

やはり僕にとって、いや他の人にとってもだと思うが、瀧と三葉は特別な存在だ。

別の物語の中でモブとして扱われる彼らを見て巨大な違和感を感じた。

 

ストーリーが平坦

君の名は。の良かったところはストーリーが映画として良くできていた点だと思う。

三葉と瀧の日記でのやり取りと携帯が良い伏線となり、中盤では三葉がすでに死んでいることが明かされる。ここで僕たちはグッとストーリーに引き込まれたはずだ。

いわばミステリー要素があったのである。

 

今回は前作に比べて、単純にストーリーが進んでしまう。

簡単にオチが予想できてしまうのだ。

 

メッセージ性は確かにあったかもしれない。

しかしエンターテイメントとしてみれば、君の名は。に見劣りするのは間違いない。

 

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余談やけど本田翼は予想よりは良かった(映画.comより)

おわりに

ここまで見ていただければわかるのだが、良かったところよりも悪かった部分の方が印象に残っている。僕はこの作品を面白いとは思わなかった。

メッセージ性があろうがなかろうが面白くないものは面白くないのだ。

いや、強いて言うなら、僕はこの作品からメッセージというものを多くは読み取ることができなかった。それほど僕にはこの映画の粗が見えてしまった。

 

帆高に感情移入をしていたら感じ方はもっと違ったと思う。

物語では彼にとって陽奈を救うことが全てであり、その一瞬に命をかけていたのだから。

しかし今回は物語を観る観客としてしか映画をみることができなかった。

最初から最後まで登場人物に自分を投影することができなかったのだ。

 

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映画.comより


 

ただ述べたように音楽と映像のクオリティはさすが新海誠という評価になる。

これらの点は最近のアニメーション作品の中では群を抜いて素晴らしい。

何事も観てみないとわからないので、まだ観ていない人は事前情報に踊らされずにぜひ観てほしいと思う。

 

以上が僕の素直な感想。

 

 

ハッピーエンドといえば

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