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【短編小説】猫が好きな人におすすめする厳選小説3作

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猫×文学=○○

 

あなたは何を思い浮かべるだろうか。

 

僕は間違いなく「傑作」だ。

 

猫の持つ「自由奔放さ」や「高潔さ」そして「ミステリアスさ」といった魅力と文学とが絡み合ったとき、 魂を震わせるような名作が生み出される。

 

僕はそんな「猫本」の魅力に憑りつかれた人間のひとりだ。かれこれ数十冊の「猫本」を読破してきた。それは小説から新書、図鑑や絵本にまで至る。とにかく「猫」と書かれた本、猫が主要な役割を果たす本を読みあっさってきた

 

ここではそんな「愛猫家」であると同時に「猫本愛好家」である僕が厳選した猫本を紹介しようと思う。猫が好きな人にはもちろん、本好きの人で次に読む本を探している人にとっても有益な情報となるだろう。

 

そして今回は数ある猫本の中から「短編小説」に特化して紹介する。

 

 

そもそも短編小説とは

 

まずそもそも、今回紹介しようとする「短編小説」とはいったいどのような書籍なのか。

 

(長編小説に対して) 比較的短い長さの小説。普通単一の主題からなり、限られた時間的経過のうちに完結する小説。四〇〇字詰原稿用紙で一〇〇枚以下のものをいう場合が多い。

 

日本が誇る国語辞典である「日本国語大辞典」にはこのように定義されている。つまり短編小説とは読んで字のごとく、短い小説ということになる。

 

このような短編小説はほとんどの場合、1作品だけで文庫化されて売られていることはない。大抵は複数の短編小説をまとめて「短編集」という形で目にすることになる。

 

またこの時、すべての作品を同一の作者が書いた短編集と、複数の作者が1作品ずつ持ち寄ることでオムニバス形式で作られた短編集が存在する。これらの短編小説にはそれぞれの良さが存在する。

 

猫の小説【短編小説】の魅力

 

単一な筋と緊密な構成で主題を打ち出すのが特色。

 

年三回の定期更新を行い最新の情報を提供する「デジタル大辞泉」の短編小説の項目にはこのような紹介文がある。

 

これはまさに僕が思う短編小説の魅力を表現している

 

文章が短く、複雑な構成にすることが困難な短編小説では主として、作品のゴールとなる展開に向けて一直線にストーリーが進む傾向にある。物語や登場人物に無駄がなく非常に洗練されているともいえるだろう。

 

その作品のゴールとなる展開では、時に強い衝撃を僕たちに与えうる。まるで少量でもガツンとくるテキーラショットのようだ。

 

またそれとは反対に、安らぎや安心感を与えてくれるものもある。それらの作品は、小説の厚さと読後の幸福感は比例しないことを証明している。

 

サイト内に自分だけの本屋を作れる、ホンシェルジュ(https://honcierge.jp/)で、ミュージシャンのAlfred Beach Sandalさんは短編集をこのように称している。

 

削ぎ落とされているぶん、その作家に通底するテーマというか、核みたいなものがはっきり見えてくることが多い

 

短い展開のなかに幾重にも織り込まれた著者のオリジナリティが、短編小説を面白くしているに違いない。これは猫の短編小説でも変わらない。

 

猫小説の短編集では、それぞれの作者が持つ「猫」を垣間見ることができる。猫をある種神秘的な目で見る作家がいる一方、ごく日常的な存在として扱っている人もいる。猫に対する感性は人それぞれであることを再確認できるし、小説家がもつ独自の感性に対して「そんな見方もあるのか」という新たな発見にもつながる。

 

つまりは猫の短編集は猫に対する価値観=猫観の広がりを実感できるということだ。

 

短編小説集には他にも「電車での移動中など短い時間で読み終えられる」ことや「オムニバス形式ならば好みの作家に出会える」といったような楽しみもある。たまには短編小説を読んでみるのも面白いだろう。

 

 おすすめの猫の短編小説

 

それでは僕が今まで読んできた猫の短編小説の中で、面白かったものを紹介しよう。

 

猫が見ていた

 

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湊かなえ有栖川有栖北村薫

本好きな人もそうでない人も一度はこの作家たちの名前を聞いたことがあるだろう。

 

彼らの共通点、それは「猫」。現代の人気作家たちが、それぞれの猫観をこれでもかというほどあふれさせた傑作集がある。それが文春文庫から出版されている「猫が見ていた」である。

 

こちらの猫本は誰の中にも少しは存在する「闇」が猫を介してさまざまに描かれている。特に柚月裕子さんの「泣く猫」は、誰にでも心の中に暗い部分があることを教えてくれる。

 

そしてそれを感じ取った猫はどうするのか。私たちの気づくか気づかないかのスレスレのところに猫はいるのかもしれない、なんてことを想像してしまう。

 

またこの本にはこれらの作品に加えて、僕を超えるであろう「猫本愛好家」である澤田瞳子さんの「オールタイム猫小説傑作選」が収録されている。これがまた傑作だ。

 

作者の澤田瞳子さんはもともと犬派だったにも関わらず、本棚に猫コーナーが自然と出来上がる「生粋の」猫本愛好家だ。そんな作者の愛とユーモアが込められた猫本紹介は、思わず書店に走って買いに行きたくなるほどだ。

 

実際に僕はこのエッセイを読んで、重松清さんの「ブランケットキャッツ」を衝動買いしてしまった。それでもこの衝動買いを全く後悔させないクオリティがあり、ここで紹介されている本の「面白さ」は保証されている。

 

ここで紹介されて読めていない本はまだまだあるので、今の積み本がなくなれば買いに行こうと思っている。

 

 

 

モノレールねこ

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このモノレールねこは、先ほど紹介した「猫が見ていた」にも寄稿された加納朋子さんの短編集である。

 

加納朋子さんは日本推理作家協会賞を受賞された「ガラスの麒麟」に代表される連作短編小説を多く書かれているミステリー作家さんです。

推理小説ですが、血生臭い殺人事件などはあまり起きず、「日常の謎」を解くストーリーが特徴的です。短編連作集が多く、各短編での伏線が重なり、全体の謎につながるという仕掛けは本格的ミステリーテイストでもあります

 前述のホンシェルジュでもこのように紹介されているように、この「モノレールねこ」にも日常にありそうな謎やエピソードが多くかかれています。

 

猫がメインで登場するのは表題作である「モノレールねこ」だけですが、他にもザリガニや犬といった身近な動物を中心として物語が展開されます。

 

作品全体として「大切な人との絆」が描かれていますが、それを文字通り仲介する動物たちの姿が非常に新鮮で、ほっこりとした気分になります。

 

これを読んであなたも大切な絆を再確認してみませんか?

 

 

 

猫ミス!

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赤川次郎さんの大人気シリーズ「三毛猫ホームズ」や、柴田よしきさんの「猫探偵正太郎」シリーズに代表されるように、猫とミステリーは非常に相性がよい。

 

「猫が見ていた」で紹介した澤田瞳子さんも猫とミステリーの関係について以下のような分析をされている。

 

猫とミステリは相性がいい。(中略)しなやかで好奇心旺盛な猫ほど、謎解きにぴったりの生き物は世の中にそうそういない。

 

まさしくこの通りだ。またこれに付け加えて、猫のもつミステリアスで自由というようなイメージもこの相性の良さに深くかかわっていると思う。

 

また猫とミステリーの関係性は、実際の猫の性質とも関係がある。動物写真家で僕が思うに世界で最も多くの猫を見てきた人間の一人である岩合光昭さんは、インタビューのなかで次のように語っている。

 

ネコで一番好きなのは差別しないところです。プラスでもマイナスでも関わりには違いがなく見えます。全体の気配で判断しているのでしょうね。そこが素晴らしいと思うんです。

 

 人はどうしても相手の顔色を窺ったり、相手によって態度を変えてしまいますが猫はそんなことはない。犬もまた、人の顔色をうかがう能力にたけるため、猫のような平等さがない。

 

謎ときにはどうしても「物事を先入観なしに見る目」が必要ですが、岩合さんが言うように「差別しない」猫であれば、なぞ解きの相棒としてバッチリなのも納得だ。

 

そんな猫の魅力と完全に互換性のあるミステリーがふんだんに盛り込まれたのが中公文庫出版の「猫ミス!」である。どの作品も短いながらも非常に練られた構成になっており、極上のミステリーを提供してくれる。

 

そんな中でも僕がおススメしたいのは小松エメルさんの「一心同体」

 

「猫になりたい」が口癖の妹と姉の二人が主人公のミステリー短編だ。

 

ネタバレは好きではないので深くは書かないが、起承転結の「転」がすごく衝撃的で、思わず読み返してしまうこと間違いなし。ぜひ一度手に取ってもらいたい。

 

同じミステリーながらも芦沢央さんの「春の作り方」は大きくテイストが異なる。小学生の「僕」と、将来の夢は名探偵の「水谷くん」、そして僕の祖父で元校長先生の「おじいちゃん」が生み出すこの何とも言えない日常感というか、素朴感がたまらない。

 

そんな中にも質の高いミステリーが含まれており、読み終わるとあなたの人生にまたひとつの幸せを感じられるだろう。

 

このように様々なジャンルのミステリーと、筆者独特の世界観・猫観を味わうことができる。是非この最高の娯楽を体感してほしい。

 

 

 

まとめ

 

猫×文学=傑作だ。

 

そこに短編という要素が加わると、心地よいテンポと高質な謎が相まって、まるで宝石の展示ケースのような輝きをみせる。

 

たまにはあなたもこの輝きを受け取って、明日への活力にしてくれたら幸せだ。

 

僕も猫本愛好家として楽しく読書させて貰っているが、まだ見ぬ猫本は世界中に沢山ある。読者の方にも是非おすすめの猫本があれば、コメントなどで教えていただいて、猫本を共有して欲しい。

 

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