ユトリとサトリのあいだ

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【長編】猫が好きな人におすすめする厳選小説3作

 

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角田光代谷崎潤一郎三島由紀夫ヘルマン・ヘッセアーネスト・ヘミングウェイ

 

これら時代も国も、執筆するジャンルすらも異なる小説家たちに共通するある性質がある。

 

それは猫好きということだ。

 

つまり猫はいつの時代も、どんな国でも作家たちを魅了し、その作品に少なくない影響を与えてきた。

 

そんな作家たちの猫文学に魅了される人間もまたいる。僕もその1人である。

 

強烈な猫本愛好家としてこれまで数十冊の猫本を読破してきた僕がおすすめする猫本を紹介するこのシリーズ。

 

今回は小説のど真ん中、the 王道の「長編小説」を紹介しよう。

 

 

そもそも長編小説とは

(短編小説に対して) 量の点で長い小説。複雑な事件内容を含み、取材範囲が広く、構想が大きく、人生を全円的に描いたもの。

 

40年以上の歴史を誇る日本最大級の国語辞典・日本国語大辞典にはこのように定義されている。つまり長編小説とは、短編小説に比べて長くより複雑な構成を持った小説である。

 

400字詰め原稿用紙2〜300枚以上の分量をもつ小説を言うことが一般的だが明確な決まりはない。

 

本記事では「シリーズもの」と区別するため、長編小説とは1話完結の小説を示すものとする。ただしスピンオフ作品やその他付属的な作品がある場合は、その限りではないものとする。

 

猫本・長編小説の魅力

長編小説の最大の魅力はなんと言ってもそのストーリー性にある。本の世界に引き込まれ、時間を忘れて熟読してしまったことがある人も多いだろう。

 

短編小説に見られるような激しい展開が少ない代わりに、徐々に作品の中へといざなわれていく

 

こと猫小説に関してはそこに加えて、様々な猫の活躍を見られるという楽しみもある。

小説によって猫の使い方や、猫のストーリーへの関与の仕方が大きく異なる。

 

特に推理小説に関してはその傾向が顕著である。猫が主人公に変わって謎を推理していくこともあれば、あくまで猫はマスコットとして描かれることもある。

 

また猫小説の中には猫の気持ちが書かれているものが多くある。これこそ、著者の猫に対する価値観である「猫観」が如実に現れている。

 

猫小説の楽しさの一つとして、この作者ごとの猫観の違いを味わうというのがある。皆同じ猫好きの作者たちではあるのだが、その愛の方向の差を感じるのが猫小説の楽しみであると僕は思っている。

 

おすすめする猫小説

 

ではここから本題である猫小説を紹介していこう。

 

旅猫リポート

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図書館戦争シリーズで有名な有川浩さんの「旅猫リポート」は長編猫小説には欠かせない一冊だろう。

 

あらすじとしては、ある野良猫とその猫をを拾った男の旅の話だ。

 

シリーズ累計40万部突破し、映画化もされた作品だけに比較的多く目にする機会が多い1冊ではないのだろうか。

 

主人公ならぬ主人猫の視点から描かれる作品である。この猫から感じるのは自身の主人に対する「忠誠心」である。

 

主人への忠誠心というと、犬を思い浮かべる人も多いだろう。僕も実際この作品を見るまでは忠誠心=犬であった。

 

しかしこの作品では猫の忠誠心を感じることができる。それは犬とは違い、決して媚びへつらうことはなく常に淡々としたものである。ともすれば忠誠心ではなく、ただ自分のために行動しているようにも見える。

 

でもそれこそが猫の忠誠心なのである。嫌味口を叩きながらも常に主人を心の片隅においている。

 

人の中にもみんなに好かれたい八方美人の人もいるかもしれない。でもそれは相手を思っての行動ではなく、常に自分のためにしている行動だろう。逆に嫌われ者でも相手のことを思ってしっかり相手を指摘できる人間のほうが、相手思いの人間なのかもしれない。

 

話は少しそれたが、児童書にもなるほどの名作である一冊をぜひ読んでみてほしい。

 

 

 

世界から猫が消えらなら

 

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川村元気さんの「世界から猫が消えたなら」もまた、猫小説愛好家には外すことのできない一冊である。

 

悪魔と1日に一つだけ世界からなにかを消せられる契約をした主人公の、苦悩や衝動が独特の表現で書かれている。

 

この世の中で生きていて、「こんなものなくなってしまえ」と思うものはどれだけあるだろうか。僕はそんなに多くないと思う。確かに体制的なものや悪口、戦争といった物質的でないものに、なくなってほしいと感じることはある。

 

しかし物質的なもので無くなればいいなと思うものは、こと自分の身近なものに関して言えばほとんどない。なぜなら我々は自分のほしいものだけを、買い集めることができ、要らなくなったら容赦なく捨てることができるからだ。

 

だとすると、この悪魔のとの契約は無駄な契約だったのか。主人公は何を望み、何を価値基準に世界から消すものを選ぶのか。そしてそこに猫がどう関与するのか。

 

興味のある人は是非一度手にとって見てほしい。

 

 

 

黒猫の小夜曲

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黒猫の小夜曲(セレナーデ)は医療系の小説に定評がある知念実希人さんによるミステリー要素の強い小説となっている。

 

この作品では、未練を持ってこの世に居座る地縛霊を「我が主さま」のもとへ送り届ける死神が主人公として描かれている。しかしその死神は、この世界では実体を持つことができないため、猫の姿に化けることで地縛霊の未練をといていく。

 

余談ながら僕は知念実希人さんの小説が好きである。彼のミステリーは話の本筋に一つの謎があるのと同時に、本筋とは離れた別の軸の中にもミステリーを含んでいる。1つの大きな謎が解き明かされることで安心した僕に、別角度からの衝撃を与えてくれるから、非常に読み応えがある。

 

この作品にもやはり1つ以上のミステリーが混在している。中でもいちばん大きな謎は読み手の心に違和感としてあるものが、物語の最終盤で一気に解き明かされるようになっている。

 

トリック自体も医者である知念さんならではの、医学知識に富んだオリジナリティーのあるトリックになっており、新たなミステリーを提供してくれる。

 

目新しい斬新な展開ではないものの、トリック自体の質と、知念実希人さん独特のストーリーを余すことなく味わい尽くすことができる。

 

 

 

まとめ

 

今回も様々な猫本を紹介してきた。この中に、あなたの知的好奇心をくすぐる1作があれば紹介したかいがあったというものだ。

 

短編小説も面白い

www.yutosato.work