大学は人生の夏休みと揶揄されるほど時間がある。
その時間をどう過ごすかは自分次第だ。
僕はその時間に読書をすることをおすすめする。
高校教育から飛び出し、主体的な学びの世界へ飛び出した大学一年生へおすすめの入門書を紹介したい。
はじめに
この世界には二種類の人間がいる。
読書をする人間と、昼頃に起きて午後3時まで二度寝三度寝を繰り返し「ああ一日が48時間だったら」と訳のわからないことを言う人間だ。
後者には後者なりの美しさがあって好きなのだが、まあそれはいい。
大学に入学した君に与えられた時間は一般的に4年間。それを活かすも殺すも君次第だ。その4年間を有意義なものにするために、僕は君に読書することをおすすめしたい。
とはいえ広大な学問の世界に入った君達の中には、何から手をつけていいかわからないサトリ世代も多いだろう。
そこで今回は僕が足を踏み入れた分野の中で入門書になりうる本を紹介する。
今回紹介する入門書は次の5つだ。
- 生物学:「先送り」は生物学的に正しい 究極の生き残る技術 (講談社+α新書)
- 経済学:大学4年間の経済学が10時間でざっと学べる (角川文庫)
- 哲学:<子ども>のための哲学 講談社現代新書―ジュネス
- 美術:いちばん親切な 西洋美術史
- 教育学:掃除で心は磨けるのか (筑摩選書)
いずれの分野も現実の生活と密接に関わっている分野だ。学んでおいて損はない。
ちなみに僕の専攻は生物学だ。
今回はそれぞれの分野から一冊ずつしか紹介しない。
なぜなら初心者はまず一つのことをやりきるべきだ。そのために今回は選択肢を一つに絞った。入門書を読み切った後に、それが面白いと思ったら他の本に手を出してみると良い。
もしその分野の本が面白くないと思ったなら、それは君の学ぶ場所は別の場所にあるということ。時間がたっぷりあるうちに色々なことにトライしてみると良い。
おすすめ入門書
生物学:「先送り」は生物学的に正しい
生物学を学ぶ時、一番最初に理解すべきことはなんだろうか。
それは間違いなく「進化」という現象だ。
進化という現象について誤解をしてしまうと、生命科学を間違った方向で理解をしてしまうことになる。
この本は宮竹貴久先生という昆虫学者であり進化生物学者の先生が書いた本だ。生き物の進化のメカニズムを色々な例を用いながらわかりやすく面白く解説してくれる。
進化という現象を理解するにはぴったりの一冊である。僕も大学一年生の頃にこの本を読んだ。軽快な語り口の中に学びの多い本である。
経済学:大学4年間の経済学が10時間でざっと学べる
この本のタイトルを見たことがある人は多いはずだ。
20万部以上を売り上げたベストセラーで、どの本屋にも必ずと言っていいほど置いている人気の本である。
この本はタイトルの通り、大学で学ぶミクロ・マクロ経済学の内容のエッセンスだけを取り出し一冊にまとめた本だ。そのため経済学の一つの分野をサクサクと学ぶことができる。
注意すべき点は
「10時間で学べる」≠カンタン
という事実である。やはり世界を動かす学問を10時間で修めることはできないのだ。しかしそれでもこの本は図が多く、言葉もわかりやすい。
経済学の入門書はこれが最適だ。
哲学:<子ども>のための哲学
哲学を学ぶとはどういうことか、この本の一節から引用する。
哲学といえば、たいていのひとは、ソクラテスやプラトンからデカルト、カントをへてハイデガー、ウィトゲンシュタインにいたる西洋哲学史上の人物を思い浮かべるようだ。
そして、哲学を学ぶとはそういう人たちの書いたものを読んで、理解することだと思っているひとが多い。しかし、そういうやり方で、哲学の真髄に触れることは絶対にできない。少なくとも、ぼくはそう確信している。
(〈子ども〉のための哲学より抜粋)
死んだ後はどこにいくのか。
わたしはなぜわたしなのか。
哲学の役割の1つに、そのようなバカバカしいと思えるほどの壮大な疑問に自分なりの回答を出すことにある。
哲学の基本的な姿勢は自分で考え抜くことにあり、人の哲学を学ぶことは哲学の本質ではないと筆者は語る。
「真の哲学」とは何かを易しく教えてくれる、哲学の入門書。
美術:いちばん親切な西洋美術史
心を豊かに保って良い暮らしをしたいなら、アートを見ることで心の感性を磨くのは良い方法だ。
そして美術はその背景を知ることでさらに深く作品を楽しむことができる。
美術の歴史を紐解き理解するためには西洋の美術を通らずには進めない。
西洋美術を見ようと思った時はこの本だ。
そして美術の基本は「見る」ことにある。
この本には西洋美術5000年の歴史がカラフルな写真や図とともに書かれており非常に読みやすい。まず好きな作品を見つけることから始めると良いだろう。
ちなみに絵画や彫刻という美術は全て他のアートに通ずる。絵画や彫刻の造詣を深めることは音楽や詩への興味や理解を深めることでもある。さらにいえばアートという括りを超えて、色々なつながりが網のように広がっている。美術は文化である。そして文化は生活を作るのだ。
文化を学ぶということは私たち自身を理解することにもつながっていく。
教育学:掃除で心は磨けるのか
教育を学ぶ意味は大きい。
現代の日本の教育はあらゆる面で変革を迫られている。
そしてその必要性や改善点を真に理解できるのは、教育を学んだものだけである。
小中高の共通教育はほぼ全ての日本人が受けるもの。
それに問題があるとしたら、それは何だろう?
何かを学ぶ時に大切なのは批判精神であることは疑いの余地がなく、それは教育を学ぶ時でも変わらない。
この「掃除は心を磨けるのか?」は教育に対する批判精神を養ってくれる良書である。
おわりに
読書をすることで得られるものは計り知れない。
入門書を読むことはたとえそれに興味を持てなかったとしても、君に新しい興味の行き先を指示してくれるだろう。ぜひ大学生のうちに本をたくさん読んで自分の興味の行く先を見つけてほしいと思う。
英語を学ぶのも悪くない
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