ユトリとサトリのあいだ

大学生だったり時々、虫を食べたり

【5分で書評】四畳半神話大系/森見登美彦

私は冴えない大学3回生。バラ色のキャンパスライフを想像していたのに、現実はほど遠い。

悪友の小津には振り回され、謎の自由人・樋口師匠には無理な要求をされ、孤高の乙女・明石さんとは、なかなかお近づきになれない。

いっそのこと、ぴかぴかの1回生に戻って大学生活をやり直したい!さ迷い込んだ4つの並行世界で繰り広げられる、滅法おかしくて、ちょっぴりほろ苦い青春ストーリー。

(BOOKデータベースより)

 

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森見登美彦の描くストーリーの特徴はなんといってもキャラクターの躍動感!

不思議な世界を描くのに定評のある、森見富美彦さん。

次作の「夜は短し、歩けよ乙女」も読ませていただきました。二作品とも、いやはやキャラが紙面上で踊っているようなリズムのセリフ、情景描写。作品をすごく楽しく読める作家さんの一人です!今回も素敵なものがたりをありがとうございました。

 

さて、「四畳半神話大系」。

四畳半神話大系」は四つのパートからなる物語です。

 

ひとつめは、映画サークルみそぎ編

ふたつめは、樋口師匠に弟子入り編

みっつめは、ソフトボールサークルほんわか編

よっつめは、秘密機関〈福猫飯店〉編。

 

主人公を中心とした四つの別々の世界線でまわるこの作品は、いわゆる「平行世界(パラレルワールド)」の作品となっています。

 

四つの世界で起こる不可思議な出来事が、見事にその伏線を回収されたり、されなかったりするお話です。(まだ二作品しか読んでいませんが、森見先生の作品はそんな感じのストーリー進行に終始します笑)

 

京都大学を舞台に繰り広げられる、学生たちの奔走劇。変人中の変人たちが京都の夜と、頭の中を駆け回る。気が付いたらあなたも京都の夜の中にいるかもしれません。

 

 

僕がこの作品を読んで一番読んでおもしろいなと思ったのは、主人公や友人の堕落っぷりとその間に見える、純粋な心の葛藤です。

 

「大学に入って以来二年、私は不毛な戦いを繰り広げてきた。「恋ノ邪魔者」の称号に恥じない天晴れな戦いぶりであった断固自負しながらも涙を禁じ得ない。

それは誰からも称賛されない、そして称賛されるはずがない茨の道であった。」

 

いやどういう学生生活?笑

そう、この主人公(と愉快な仲間たち)は堕落した生活を送っている大学生であります。森見登美彦さんは、彼らの生活を紙面上で破滅的なほど魅力的に見せる天才です。この本を一読した方は、必ずこの生活に憧れを覚えるといってもいいでしょう。

 

上の引用文からも推測される通り、ハチャメチャな生活を送っている彼らですが、

私とて誕生以来こんな有様だったわけではない。

生後間もないころの私は純粋無垢の権化であり、光源氏の赤子時代もかくやと思われる愛らしさ、邪念のかけらもないその笑顔は郷里の山野を愛の光で満たしたといわれる。

それが今はどうであろう。鏡を見るたびに怒りに駆られる。なにゆえおまえはそんなことになってしまったのだ。

 

我々と同じように日々、己の内面と葛藤しながら暮らしている人々です。愛すべき、いや、愛さずにはいられない学生なのです。。。

作品上で語られる、主人公の内面は、休日にだらだらしてしまう僕の心情に似ています。それもこの作品が好きな理由のひとつかもしれません。

動かなきゃいけない、生産的なことをしなきゃ!と思う毎にベッドに沈んでいく体。閉じる瞼。気づけば午後一時を指す時計の針。

主人公の生活をみていると、共感してクスッと笑える一方で、ギクッとしてしまう時もあります。それでも動けない時もあるんですけどね(笑)

 

 

引用を見てもらえればわかると思いますが、森見先生は本当に言葉選びが素晴らしいです。この語り口で主人公の性格が100%伝わってきて、このセリフ回しだけで面白さがガンガン伝わってきます。

特に、冒頭部の主人公の語りは秀逸です。おそらく大勢の日本人が、ここで森見登美彦ワールドに連れ去られてしまうのだと思います。

 

 

 森見先生の描く、大学生っていいな。この本をみると夜の街に飛び出して、悪友とラーメンでもすすりにいきたくなります。今日は夜の街を、ふらふら漂ってみようかなぁ。